1. 所長挨拶

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Institute for Philosophical Management 所長 梶谷 真司 東京大学 大学院総合文化研究科 教授 共生のための国際哲学研究センター(UTCP)センター長

あなたの会社にとって、会社で働くあなたにとって、「本当に大切なこと」は何ですか。  企業経営をしていると、外からくる様々な要求、短期的な利益や損失など、目の前のもの心を奪われ、それが何より大事であるかのように思う。そして大事なものを後回しにし、いつしか忘れてしまう。やがて方向を見失い、行き詰まる――私たちがこれまでビジネスの現場に入って見たのは、そんな光景でした。私たちは多くの会社に関わり、そこでクライアントと共に様々な課題に向き合ってきました。それは、一般的なコンサルティングとはまったく違い、哲学という数千年来鍛え上げてきた思考を拠り所にしています。その蓄積をもとに“共に問い考える”場を創り、クライアントが自ら道を切り拓く力をつけるように伴走します。  本研究所では、哲学と経営学をかけあわせて根本的な理論を探究する「基礎研究」と、理論の実践方法を企業の現場で開発する「応用研究」を行います。この二つを融合することで哲学的経営理論を構築するのが私たちの使命です。そして「本当に大切なこと」に向き合い、企業と社員と社会が互いの善となる社会を実現する。それは、「人が生きるとはどういうことなのか」をたえず問い直す、哲学的な営みによってのみ可能なのです。


2. 研究所について

①活動目的

Institute for Philosophical Management(経営のための哲学研究所、以下IPM)は、株式会社Pharmakonが運営する研究機関として、当社の掲げるビジョン(目指す社会の理想状態)を実現するための土台となる経営理論の構築を目指している。

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当社のビジョン

「哲学の力」によって

本当に大切なことに

向き合う社会を実現する

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具体的には、「社内のコミュニケーションが表層的なものに留まり、本音で話すことができていない」、「SDGsやパーパスへの取り組みが時に綺麗事化する」といった事態に流されるのではなく、企業が本来向き合うべき「本当に大切なこと」から変革を始めるための理論を構想しており、私たちはこれを「哲学的経営理論」と名付け、その具体化に取り組んでいる。そのために、これまで交わることの少なかった哲学・経営学・企業活動を結びつけ、本質的でありながら、実践的かつ現実的な理論の構築を目指して研究を進めている。

②研究内容

IPMは「哲学・経営学・企業活動」の相互作用と循環関係のなかで発見・実用化される知を「哲学的経営理論」として具体化するべく研究を行なっている。

IPMには当社で哲学コンサルティングに従事してきた哲学研究者が在籍しており、気鋭の経営学研究者との間で共同研究を実施、当社の企業活動および顧客企業とのコミュニケーションを通じて発見するイシューの分析にあたっている。具体的な研究アプローチとテーマについては以下を参照。

研究アプローチ

研究のアプローチ方法としては、**第一に、上記の三つの領域を互いに「主と従」の関係性に位置づけている。**そうして主となる領域の思考様式・問題意識・問いの立て方を起点にしながら、従となる他の領域を照らし直した上で、新たな視点や理論、概念を構築していく。**第二に、互いに問題提起し、実践可能性を問う「知の循環関係」を創出。**そうすることで、これまで交わることのなかった三領域が未知の理論形成に向けて活性化しあい、「哲学的経営理論」の具体化につなげる。